犬に必要な栄養素は?

イヌは野生にいた頃は肉食であり、他のイヌ科イヌ属のオオカミやジャッカルなどと同様に狩猟によって動物を捕獲し食料として利用していました。

しかし、ペットとして人と一緒に暮らすようになってから食事のパターンが変化してきました。

犬の食べ物の変化

イヌは飼い主を群のボスと認めて人と食べ物を共有するようになり、徐々に雑食性へと変化してきた経緯があります。

長い年月の間に、遺伝子が食生活の変化に合わせて自然に変異して順応するようになり、人の主食であるコメや小麦といった炭水化物も利用できるように変化してきました。

体の構造も野菜を摂取するのに適した形に変化してきたと考えられます。

イヌの健康や成長にとって必要な栄養素というのは、野生の時から食べていた本来の肉食獣としての特性に合致しているタンパク質と脂質です。

雑食性に変化しているとはいえども、人と同じ様にエネルギー源としての炭水化物が必ず必要であるということはありません。

しかしながら、野生のイヌ属と異なり日常的に元気に走り回るためには、容易にエネルギーを得ることが出来る炭水化物も有効です。

犬の栄養バランスの考え方

以上のことを考えると、ワンちゃんの食事を用意する上で必要な栄養素というのは人間と大きな違いはありませんが、問題となるのは栄養素のバランスです。

愛犬の健康管理においては、肥り過ぎないようにすることが最も大切であると言われています。

イヌの脚を見てみると、胴体の割に脚は細く太腿の筋肉が発達していることが分かります。

イヌは良く走る動物というイメージがあるように、飛ぶように走ります。

前脚はほとんど前後に動くだけですが、後ろ脚は走るだけでなく痒いところを掻いたりするのに使う姿をよく見かけます。

後ろ足は関節の動きを制限する靭帯が少なく、股関節が柔軟で可動域が広くなっています。

靭帯は関節を強化・保護する役割がありますので、靭帯の少ないイヌの関節は強い衝撃に弱くなっています。

肥満に伴う体重増加は常に脚、特に、後ろ脚への負担を大きくしますので、肥満化したイヌは関節を痛めやすくなってしまいます。

また、肥満の原因となっている体脂肪の増加は人と同様に血液中の総脂肪量を増加させており、心臓への負担が大きい上に糖尿病あるいはそれに伴う合併症のリスクも高くなってしまいます。

肥満を避けるためには適度な運動を実行することも大切ですので、毎日の散歩は可能な限り欠かさず行う必要があります。

しかし、炭水化物の摂り過ぎが良くないというところは、人間の肥満の場合と同じです。

ドッグフードの成分表記について

ドッグフードに表示が義務付けられている成分というのは、粗タンパク質、粗脂肪、粗灰分、粗繊維、水分の5種類で炭水化物は含まれていません。

各種成分の前についている「粗」というのは、それぞれの成分の目安としての数字という意味です。

例えば、粗タンパク質は、タンパク質に含まれる窒素という原子を測定し、代表的なアミノ酸やタンパク質に換算する方法で測定したタンパク質量であり、大まかなタンパク質含有量を知ることできます。

実際には、タンパク質やアミノ酸以外にも窒素原子を含む化合物はありますので、正確なタンパク質含有量とは異なります。

粗炭水化物の表記が必須でない事の注意

さて、再度申しあげますが、表示義務のある成分に粗炭水化物は含まれていません。

市販のドッグフードの中には粗炭水化物という形で表示しているものもありますが、炭水化物を加えることによってドッグフードを増量することが出来ます。

すなわち、表示義務の無い炭水化物が表示されていないドッグフードは、炭水化物による増量分が多いという可能性があります。

コスト的には肉由来の栄養素の方が炭水化物よりは高くなるのは当然ですから、ドッグフードとしてはランクが低くなる可能性があるということです。

もちろん全てがそうであるということではなく、あくまで可能性のお話です。

いずれにしても、本来肉食の動物である犬の食事としては、高タンパク質・低炭水化物が理想的であり、脂肪や灰分、あるいは、繊維質も若干量が必要です。

それぞれの成分が、成長に及ぼす影響はどうなっているのでしょうか?

ちなみに、家族の一員としてイヌを飼っている人に敬意を込めて、ここから先はペットのイヌは「ワンちゃん」と呼ぶことにします。

粗タンパク質

タンパク質は直接的にはワンちゃんの筋肉を構築する栄養素であり、分解してアミノ酸として利用することで様々な代謝を助長し、皮膚や骨の形成あるいは臓器の形成や活動のために必要な栄養素でもあります。

毛並や毛の艶にも大きく影響してきます。

本来肉食であるイヌの場合には、体重あたりに換算すると人の4倍程度は摂取する必要があると言われています。

粗脂肪

ワンちゃんだけでなく哺乳動物の体内には脂肪が貯えられるようにできています。

人間と違っているところは、体脂肪における褐色脂肪細胞の割合が多いことにあります。

炭水化物の摂取が少なくても、褐色脂肪細胞の働きで脂肪を燃焼させることによって活動に必要なエネルギーを産み出しています。

ちなみに、イヌの体温は38度前後であり仔犬はさらに1度ほどアップしており、人間と比べると少し高くなっています。

これも、褐色脂肪細胞の働きの一つで、冬の気温の低いときに運動しなくても寒さに耐えることが出来るようになっています。

粗灰分

完全燃焼させたときに最後に残る灰を意味していることから「灰分」と呼ばれていますが、実質は食材に含まれているミネラルです。

ミネラルはビタミンと共に代謝を補助する物質であり、活発な代謝を必要とするワンちゃんにとっては人間以上に重要な栄養素です。

ドッグフードにはビタミンを表示する義務はありません。

しかし、体内で合成できないビタミンもありますので、代謝を助けるためにはビタミンも必須の栄養素です。

粗繊維

野生のイヌ科の仲間は植物性の食べ物を食べる習慣がありませんので、食物繊維が不足しがちです。

食物繊維は人間では便秘症の人に推奨されているように、排便を促進する効果があります。

野生の場合には草原を自由に走り回り腸の動きも活発になり、排便が起こりやすい生活をしています。

ところが、拘束されることの多いワンちゃんでは、便の排出を促進するためには食物繊維の摂取が必要になってきます。

水分

ワンちゃんも水が無くては生きていくことが出来ませんが、水は食事とは別に摂取していますので特に気にする必要はありません。

ただし、野生のイヌ科の動物でも家で飼っているペットのワンちゃんでも飲みたいときに水を飲みますので、常に自由に水を飲むことが出来る状態にしておくことが大切です。

イヌは体が体毛で覆われており上昇した体温を皮膚から逃がすことが出来ませんので、口を開いて長い舌を外気に触れさせることで体温を逃がしています。

従って、舌は比較的乾きやすくなっており、乾いた舌を湿らせるためにも水を飲む必要があります。

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