【犬が食べてはいけないもの】飼う前に絶対読んで!中毒症状や応急処置の仕方

犬は私たち人間と同じ雑食ですが、身体の機能は異なります。私たちが食べてはいけないものはもちろん、私たちが食べても大丈夫でも、犬には毒となる食べ物や飲み物もあります。

普段はドッグフードを与えていても、おやつとして人間の食べ物をつい与えてしまうことや、子供や知識のない家族が誤って与えてしまい、体調を壊して動物病院に運ばれてくることもしばしば見受けられます。「犬が食べてはいけないもの」を勉強することは、飼い主さんの責任だといつもお話させていただいております。また獣医師として正しい情報を発信することも責任だと考えております。この記事を読んで、犬の食べ物についてしっかりと勉強していただけると幸いです。

 

【禁忌】犬に絶対に与えてはいけない食べ物

まずは、犬に絶対に与えてはいけない食べ物について解説します。人間にとっても有毒なものはわかりやすいですが、人は食べても問題ないものの中にも犬には禁忌の食べ物がいくつかあります。絶対に与えないように、しっかりと確認しておきましょう。

■中毒症状を起こすもの

まずは、わずかな量でも中毒症状を引き起こす食べ物です。人にも毒性がある食べ物のため誤って与えるということは少ないかもしれませんが、散歩中などに犬が遊び食べなどをしないよう気をつけてください。

<キノコ類>

テングダケ類(イボテン酸を含む)や、ジャグマアミガサダケ(ヒドラジン系毒素を含む)などのキノコを犬が食べると、肝細胞が障害されます。いずれのキノコも、樹林の下に生えており、森に入った犬が興味本位で食いちぎったりして体内に取り込んでしまうことが稀にあります。これらのキノコは人にも毒性を示し、とくにテングダケ類(別名:ヒョウモンダケ)は他のキノコと誤って食べてしまうことで中毒を起こしたことが時々ニュースなどで見かけます。またジャグマアミガサダケは毒抜きをすれば食べることができますが、毒抜きは不十分で中毒を起こすこともあるので注意が必要です。

<植物の種や実>

ソテツの種子(サイカシンを含む)やセンダンの実(トリアトキシン、カテコールタンニンなどを含む)などに含まれる有毒物質により、肝細胞が障害されます。どちらの植物も日本に自生しており、地面に落ちた実や種を犬が食べることで中毒症状を引き起こします。

【症状と対処法】

中毒症状はさまざまですが、ほとんどの例で嘔吐がみられます。重症化すると、肝障害を起こして黄疸や発熱、ショックに至り死亡することもあります。対処法は、嘔吐により胃内の食べ物をはきださせること、および水分を取らせて尿として排泄させることが重要です。動物病院でも、点滴(輸液)をしながら毒素が抜けるのを待つ以外の対処法はありません。

 

■神経や血管に作用するもの

続いて、大量に摂取することで痙攣や発作といった命にかかわる病態を引き起こしてしまう食べものを紹介します。原因となる食べ物や飲み物には、人間が好んで習慣的に摂取するものが多く家で大量にストックしていたものを外出中に飼い犬が全て食べてしまったというようなことが起こらないように気をつけましょう。

<カフェイン>

コーヒーや紅茶、コーラや栄養ドリンクまで、多くの飲み物にカフェインが含まれています。カフェインは心筋細胞や中枢神経細胞を興奮させる作用があり、少量では健康を害するほどの症状は出ませんが、例えば人間が毎日摂取するのと同量を犬が摂取すると中毒症状を起こす可能性があります。人間においても、栄養ドリンクとサプリメントによるカフェインの大量摂取で死亡例が報告されています。

<チョコレート>

チョコレートの原材料であるカカオ豆には、テオブロミンというカフェインと似た神経作用のある物質が含まれています。チョコレートは甘くて犬が一度味を覚えてしまうと病みつきになることもあります。市販の板チョコ1枚程度では中毒を起こすことは考えづらいですが、例えば小型犬が板チョコ3枚(150g)を一気に食べると非常に危険です。体重1kgにつき板チョコ1枚が限界値と覚えておきましょう。ただし近年よく見かけるようになった高カカオチョコレートはこの通りではありません。犬は人よりテオブロミンの分解が遅く閾値を超えやすいということを知っておいてください。

<アルコール>

ビールや日本酒、ワインなどのアルコールを含む飲み物を犬が誤飲して、死亡するという例はよく起こっています。芸能人が飼っている小型犬も日本酒の誤飲で死亡してしまったというニュースがありましたよね。犬は「アルコールを分解する酵素」を持っていません。人間でもこの酵素をほとんど持っていない人はアルコール飲料が飲めないですよね。そのため、体内に入ったアルコールは分解されて無毒化されることはなく様々な細胞に毒性を示し、中でも中枢系の細胞に毒性が強く現れます。体重5kgの犬でビール1缶(350ml)は致死量です。ウイスキーなどは少量でも致死量に達するため、細心の注意が必要です。間違っても「酔っ払い犬」などと犬にアルコールを飲ませて楽しまないでください。

【症状と対処法】

上記の有害物質は、筋肉や神経細胞に作用するため、さまざまな症状が出ます。嘔吐や下痢といった一般的な中毒症状から始まり、痙攣、発作、呼吸不全などの症状があらわれることが多いです。中枢系の症状が出ると飼い主さんもパニックに陥ることがあるため、大量の誤食・誤飲が確認できた場合はすぐに動物病院に連れていき様子を見たほうがよいかもしれません。

対処法は、やはり吐かせることだけです。チョコレートなどは、症状が出始めるまでに12時間前後かかるためその前に水を飲ませるなどしてなるべく多く吐かせることが重要です。病院では薬剤を用いて吐かせ、摂取量が多い場合は麻酔下で胃内の洗浄を行うこともあります。

 

■貧血を起こすもの

<ネギ類>

玉ねぎ、ネギ、ニラ、にんにく、ショウガなどには、アリルプロピルジスルフィドという赤血球を破壊する作用(溶血作用)をもつ物質が含まれています。玉ねぎなどをそのまま与えることは少ないと思いますが、肉じゃがやすき焼き、カレーライスにハンバーグなどの玉ねぎを多く含んだおかずの食べ残しを与えたり、拾い食いしてしまうリスクがあります。また注意すべきなのは「コンソメスープ」などの玉ねぎをふんだんに使ったスープも危険です。

【症状と対処法】

赤血球が破壊されることで、貧血や血尿、黄疸などの症状がみられます。また、下痢や嘔吐といった中毒症状がみられることもあり、子犬やもともと健康状態が良くない場合などは死亡に至った症例もあります。対処法は、やはり嘔吐により胃内の食べ物をはきださせることが第一です。重度の貧血に陥った際には、動物病院で輸血を受けるといった処置も必要になります。

 

■腎不全を起こすもの

<ブドウ>

ブドウに含まれる何らかの成分が、犬に腎不全を起こすことが知られています。生のブドウだけではなく、ブドウを乾燥させた干しブドウ(レーズン)なども同様の危険があります。まだどのような物質が原因か不明なため、ブドウやレーズン入りのパンや焼き菓子などは絶対に犬には与えないようにしましょう。

【症状と対処法】

急性腎不全を起こすと、多飲多尿になったり、あるいは無尿になります。その他、食欲不振や嘔吐、元気消失といった全身症状がみられます。ちょっとした体調不良だと思って様子を見ているうちに腎不全が進行し命を落とすこともあるため、犬がブドウを食べて少しでも体調不良が見られた場合はすぐに動物病院を受診しましょう。透析などによって血液を浄化しながら、腎機能の回復を待ちます。

 

■低血糖を起こすもの

<キシリトール>

犬用おやつの中には、キシリトールを含んでいるものがあります。実は私も獣医師になる前は、何も知らず犬にキシリトール入りのおやつを与えてしまっていました。キシリトールは人にはとくに中毒をおこすことはなく甘味料などとしてよく使用されています。さらに虫歯菌の働きを弱めたり、虫歯菌がキシリトールをもとに酸を作り出せないことから「虫歯予防」の効果があるとして、あらゆるものに含まれていますよね。犬用のおやつにも、虫歯予防などとうたって含まれていますが、犬はそもそも虫歯とはほぼ無縁です。また、キシリトールには血糖値を急激に高める作用があり、その結果多量のインスリンが分泌されて低血糖ショックを引き起こしかねないのです。

【症状と対処法】

低血糖状態になると、突然倒れたり、呼吸不全に陥り最悪の場合は昏睡状態に陥り死に至ります。対処法は、ブドウ糖などの糖を摂取させることです。対応が遅くなければ、数十分で回復する場合がほとんどです。(参考:日本獣医学会「犬のキシリトール中毒について」)

 

【注意】犬に与える際は注意が必要な食べ物

続いては、犬になるべく与えないほうが良い食べ物です。少量で中毒症状を起こすことはまずありませんが、大量に摂取した場合や長期間にわたって摂取することで健康被害が確認されている食べ物です。人が好んで食べるものも多いため注意が必要です。

■栄養性疾患を起こすもの

<甲殻類、貝類>

甲殻類(カニ・エビ)や貝類、イカやタコにはチアミナーゼが多く含まれています。チアミナーゼはチアミン(ビタミンB1)を分解してしまい、チアミン欠乏症を引き起こします。十分に加熱すればチアミナーゼは失活しますので、どうしても与えたい場合は過熱してから少量与えましょう。また殻は消化不良を起こしたり、丸飲みして消化管を傷付ける可能性があるためきれいに除去してから与えてください。

<生魚>

魚の内臓にもチアミナーゼが多く含まれています。生の魚の内臓には寄生虫もいるため絶対に与えないようにしましょう。魚を与える際も必ず加熱処理をしてください。

【症状と対処法】

チアミン欠乏症は、大脳に壊死をおこし発作や盲目といった神経症状を示します。小脳が壊死した場合は、運動失調がみられることもあります。対処法としては、チアミン(ビタミンB1)を継続的に投与し進行を抑えます。残念ながら一度壊死した脳が回復することはなく、発症してしまった神経症状がなくなることはほぼありません。(参考:獣医内科学<小動物編>)

 

■感染症が心配なもの

<生肉>

牛や豚、鶏などの生肉には寄生虫や病原性細菌などが含まれており、内臓部分にはより多くの病原体が含まれています。十分に加熱して与えるようにしましょう。豚肉には、トキソプラズマという寄生虫が、鶏肉にはサルモネラやカンピロバクターなどが存在します。

【症状と対処法】

食物が原因の多くの感染症は、腸管に侵入し下痢や発熱を引き起こします。また、細菌感染の場合は、細菌の分泌する毒素が血液中に入り敗血症を引き起こし命に関わることもあります。対処法は、下痢や嘔吐による脱水予防のための点滴(輸液)をしながら、抗寄生虫薬や抗生剤を投与し体内から病原体を排泄します。

 

獣医師として手作りフードより良質なドッグフードをおすすめする理由

 

ここまで説明してきた通り、犬に与えてはいけない食べ物には多くの種類があります。残り飯を与えたり、手作りフードを与える場合は、ネギ類や甲殻類、魚や肉などに注意しないといけません。また、人間と同じ食べ物を与えることで、飼い犬が食卓やキッチンの食べ物に興味を示し、誤食を引き起こすリスクが高まります。

市販のドッグフードは何が入っているかわからないという不安もあるでしょうが、近年は良質な素材のみを使用した無添加の安全なドッグフードがたくさん販売されています。十分に加熱された肉や魚はもちろん、獣医師が監修したレシピで適量の野菜、果物、必要なビタミンやミネラルが添加されており、完全栄養食となっています。

食べ物による中毒リスクや、栄養面からも市販の良質なドッグフードを与えることをお勧めします。

 

【まとめ】犬にとって「危険な食べ物」

犬には絶対に与えてはいけない食べ物について、その理由や対処法をまとめました。ネギ類やチョコレートなどのように、一般的に知られているものもあれば、あまり周知されていないものもあったかと思います。近年は(超)小型犬の流行もあり、ほんの少しの量でも中毒症状を引き起こし、命を落としてしまう症例もしばしば見かけます。

犬は私たち人間と非常に近い存在ではありますが、体の機能は異なることを十分に認識して、人間の食べ物はなるべく与えず市販の良質なドッグフードを与えることをおすすめします。

本サイトでは犬の健康を配慮したドッグフードの選び方なども解説していますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

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