【獣医師が教える】高齢犬(老犬、7歳以上)向けドッグフードの選び方

犬の寿命は、犬種にもよりますがおおよそ12歳前後です。飼い犬が7歳を迎えるころには、すでに人間でいうと50代後半、シニアの仲間入りです。

高齢期はこれまでの通りの健康管理をしていても何かと不調がでてきます。とくに『肥満』『腎臓病』『心疾患』は高齢になると増える病気です。また、近年は『がん』を発症する犬も増えています。
これらの病気は、骨格や遺伝的な素因などから頻発しやすい犬種もありますが、しっかりと健康管理をおこなえば多くの犬で予防することができる病気です。今回はそんな予防の基本となる“高齢期の食事”について、ドッグフードを選ぶ際のポイントなども交えながらお話ししたいと思います。

高齢犬の一日とは

まずは飼い犬の消費カロリーなどを把握するため、高齢になった愛犬の1日の生活について考えてみましょう。

活動的な時期(6歳ごろまで)は、他の同居動物や飼い主と遊んだり、単独飼育でも室内や庭で穴を掘ったり鳥を追いかけたりと、一人遊びをするくらい元気です。
お散歩も朝晩2回は連れて行って欲しいと要求し、散歩中も元気に引っ張っていたのではないでしょうか。

しかし、7歳を過ぎるころから日中は寝ていることが多くなります。朝晩の散歩も、飼い主さんが誘うと腰をあげるというスタイルに変わりつつあります。


10歳を過ぎると、散歩中も用を足すと自宅に帰るよう促す子や、信号で立ち止まると腰をおろしてしまっている犬も時々見かけます。

このように、年齢による性格の変化や体力・筋力の低下から、7歳以降は運動量が減り日々の消費カロリーも少なくなります。それにもかかわらず、体重がかわらないからとフードの説明欄に記載されている通りに高栄養・高カロリーのドッグフードを決まった量与えていると、健康面への悪影響が出てきます

年齢とともにフードの質や量をしっかりと意識して調整する必要があるということですね。

 

高齢期の犬に多い病気と予防・対策ポイント

それでは、実際に高齢期の犬では、どういった病気や健康トラブルが増えるのでしょうか。
ここからは高齢期の犬に多い病気とその予防・対策について考えていきたいと思います。

獣医師をしていると、定期健診を受けている犬では7歳ごろから何らかの異常値などが出てくる確率が高まります。さらに10歳を過ぎると病気等で動物病院を受診する犬の数が非常に多くなります。その中でもとくに気になるのは、『肥満』と『腎臓病』です。また特定の犬種では、『心臓病』『がん』なども多くみられるようになります。

これらのシニア期に多い病気について、具体的に説明していきます。

 

【肥満】あらゆる病気のリスクに!運動不足と食べすぎが原因

犬は室内飼育やリードでつないで飼っている場合も、毎日飼い主さんと散歩をする習慣がついている子がほとんどです。
そのため運動不足による肥満のリスクはそれほどありません。

しかしながら、年齢とともに筋肉が減り基礎代謝が落ちてきているにも関わらず、成犬期と同じ量の高カロリーなフードを与えてしまっていると、次第に肥満傾向になってきます。
そうなると足の負担が大きくなり、散歩も嫌がるようになってしまい肥満がすすむという悪循環に陥ってしまうこともあります。

☆肥満は糖尿病や高血圧などの高齢期に多い健康トラブルの原因になります。
7歳を過ぎた頃からは、飼い犬の運動量などをよく観察し、トラブルが認められる前に『低カロリー』のフードに切り替えるなどの工夫をすると良いでしょう。

 

【腎臓病】尿石症やウイルス感染が原因?

続いては高齢になると増える病気の一つ『腎臓病』です。

犬は猫ほど腎臓病の発症率は高くないですが、やはり年齢が高くなると増える傾向にあります。
原因は免疫力低下によるウイルスや細菌感染による腎疾患のリスクが高まるのが1つと、尿石症から尿道閉塞が起こった結果、腎機能にも影響が出てしまうというパターンもあります。

他には、高カルシウム血症、ビタミンD過剰症、低カリウム血症などのミネラルバランスが崩れることによる腎機能への影響なども考えられます。

☆高齢になると免疫力低下を予防するために、良質なタンパク質やビタミン、ミネラルがバランスよく含まれているフードを選ぶようにしましょう。腎臓は2つあり、一方が不全状態に陥っても、もう一方が働くためなかなか症状に現れません。

高齢期には定期的に血液検査などで腎機能の状態を確認することや、普段から水分摂取量や尿量に大きな変化がないかなどを確認しておきましょう。

 

【心疾患】お腹が大きくなる?少し動くと息切れや咳がみられることも

高齢の大型犬で増えるのは心疾患です。

その中でも大動脈狭窄症は、ゴールデンレトリーバーやシェパードなどに多く認められます。
大動脈は、心臓から全身に血液を送り出す出口にあたる太くて収集力のある血管です。加齢に伴い、この大動脈の流路が狭くなり収縮力も低下すると、心臓は血液を送り出すために多くの負荷をかけなければならなくなり、どんどん肥大していきます。

その結果全身をめぐる血液量が少なくなり、低血圧やショック症状を引き起こすことや、心肥大により心臓そのものが血液不足(虚血性心不全)になったり、不整脈を起こすリスクが高まり突然死を起こすこともあります。

☆加齢により大動脈狭窄の症状が出てくる場合は、生まれつき大動脈が狭い場合がほとんどです。
頻発犬種の場合は、定期的に動物病院で心音の確認などをしてもらうと良いでしょう。

また少し動いただけで疲れやすくなったり、顔面蒼白(チアノーゼ)などの症状がみられた場合は、エコーや心電図などの詳しい検査を受けるようにしましょう。

なお、お腹周りが膨らんできた時は「肥満」だけではなく、心疾患による「腹水」の可能性もあるので注意してください。また少し散歩すると咳込むなどといった症状も、心疾患に起因していることがあります。

「風邪」だろうと安易に考えず、頻発犬種や高齢犬の場合はなるべく動物病院を受診するようにしましょう

 

【がん】手術や抗がん剤治療など高額な治療費がかかります

がんは、近年犬にも増えてきている病気です。

がんが増えているというよりは、動物病院にかかる犬の割合が増えたこと、そして寿命が延びたことなどから「がん」と診断される犬が近年増えたということもできるでしょう。
治療には外科的手術による摘出や、抗がん剤治療がおこなわれています

みなさまご存知の通り、動物医療は保険適応外のため、いずれも非常に高額な治療費がかかります。
がん治療に関しては、経済的負担と命の選択を迫られる飼い主さんもいらっしゃるという厳しい現実があります。

☆がんの原因は、遺伝的な要因、ストレスや加齢などによる免疫力の低下、毒物や添加物の体内蓄積、放射線や紫外線の被ばくなど様々な要因が考えられています

その中でもフードや飼育環境を見直すことで予防できる「免疫力低下」や「毒物・添加物の体内蓄積」は、飼い主として気を付けてあげたい点ですね。
(参考:獣医内科学『小動物編』)

 

高齢犬におすすめのドッグフード

それでは、実際にシニア期の犬におすすめのドッグフードを紹介したいと思います。

まずどの犬種、年齢にも当てはまる基本的な選ぶポイントは『低カロリー』と『良質なたんぱく質』です。これは、シニア期にはどの犬種でも起こる可能性がある肥満、腎臓病、心疾患、免疫力低下といったトラブルを予防するためのポイントです。

その他のポイントとしては、フードによってシニア期のケアに役立つ各種栄養素(グルコサミン、DHA、ビタミンCなど)が豊富に含まれているものもあります。
飼い犬の健康状態を見ながら最も適したものを選びましょう。

  • モグワン
    カロリー(100gあたり) 344 kcal /粗タンパク質28 %
    動物性蛋白源としてチキンとサーモンを含んでおり、適度なタンパク質と脂質が摂取でき、栄養バランスが良いです。カロリーが控えめなのもシニア期には嬉しい点です。
    野菜や果物、ハーブなどが含まれているため、まずはお試し100円で飼い犬の好みを確認すると良いでしょう。
  • アランズ(ナチュラルドッグフード)
    カロリー(100gあたり)339 kcal /粗タンパク質20 %
    野生の犬が食べる食事『自然給餌』をコンセプトに、よけいなものが含まれていないフードです。
    動物性蛋白源としてラム肉のみを使用しています。
    粗タンパクが20%で腎機能が低下気味のシニア期(とくに10歳以上)におすすめです。ラム肉はカロリーも低く、まさに運動量が少ない高齢犬にピッタリでしょう。
  • ハロー(シニア7+、サーモン)
    カロリー(100gあたり)365 kcal /粗タンパク質28 %
    動物性蛋白源としてサーモンと白身魚のみが使用されています。
    肉類が一切含まれておらず、弱ってきた胃腸への負担が軽減できます。また、グルコサミンなど関節をサポートする成分も添加されていて、運動器のトラブル予防に最適です。
    さらに高齢(10歳以上、13歳以上)用の商品もあり、シニア期に長く使えて良いですね。

 

犬はフードを食べるときも、普段からよく水を飲む習性があります。
そのため水分不足による脱水などを起こすことも珍しく、食事はドライフードが基本です。

しかし、高齢になり噛む力が弱まってくると、ドライフードに対する食欲が落ちてしまうこともあります。
また、胃腸の機能が落ちて消化しやすいフードを選びたい時は、犬用のウェットフードを使用すると良いでしょう。ドライフードにかけて与えることで、ドライフードが少しふやけて食べやすくなります。

動物病院で処方された薬を飲ませる時には、味と香りが強いウェットフードに混ぜて与えると良いですよ。

下記に、犬用ウェットフードの中で、質のよいおすすめのものをご紹介します。

犬用ウェットフードはあまり店頭でも見かけないため、通販などで購入すると良いでしょう。

  • サイエンスダイエット(シニア用、チキン)
    高齢犬で食が細くなった場合に愛用している方も多い、サイエンスダイエットのウェットフードです。
    総合栄養食として最低限の栄養素が摂取できることに加え、毎日ウェットフードを与える場合はコスト面や入手のしやすさなども重要なポイントです。
    サイエンスダイエットは、多くのペットショップなどで店頭販売されており安心ですね。
  • ニュートロ シュプレモ(パテ)、ワイルドレシピ(パテ)
    ニュートロは、3種類のシリーズ展開をしていますが、そのうち「シュプレモ」と「ワイルドレシピ」はパテタイプも用意されています。
    ドライフードと組み合わせて使うなどカロリーを控えたい場合は「シュプレモ」を、ドライフードが全く食べられなくなった場合などは動物性タンパク質がたっぷりと含まれた「ワイルドレシピ」のパテタイプをメインの食事にすると良いでしょう。
    ナチュラルバランス 良質なたんぱく質がたっぷり含まれており、ウェットフードとしては珍しく粗タンパク質が8%以上を占めます
    グレインフリーで無添加といったこだわりも詰まっていて、コストはかかりますが、安心できるフードです。

 

【まとめ】高齢犬(老犬)向けドッグフードの選び方

犬の寿命は12歳前後が一般的です。7歳以降はシニア期となり、健康に長生きするためにはこの時期から、それぞれの犬に合った健康管理をしていかないといけません

高齢犬に起こりやすい病気やトラブルとして『肥満』『腎臓病』『心疾患』などがあります。
これらのトラブルを予防するためには、シニア期に入ったら一度食事を見直すことをおすすめします。
シニア期には『低カロリー』で『良質なたんぱく質』を含んだドッグフードを選ぶことを基本条件とし、その他それぞれの犬に合ったプラスαを確認して最適なフードを探したいですね。

さらに高齢になり10歳をすぎると、肥満を気にしていた犬も急に食が細くなり、免疫力が低下するなど新たなトラブルが増えることも多いです。
また薬を飲ませる必要が出てくるとウェットフードが重宝するようにもなります。

高齢期には、ドライフードとウェットフードの中で気になるフードを試し、飼い犬が気に入って食べてくれる安心・納得の商品をいくつか見つけておくと良いですね。

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