イヌは痛みに対して鈍感なのか?我慢強いのか?

人間ならば泣き叫んで救急車を呼ぶような怪我でも、イヌやネコは脚を引きずってでも歩き、その場から自力で移動するというシーンを見かけることがあります。

もちろん、身動きを取れないような大けがをすればいくらイヌでも動くことは不可能ですが、裂傷や骨折程度ではその場を移動することが優先されるようです。

怪我をしているのに騒がず移動するのを見て「イヌはあまり痛みを感じない」と考えている人も多いようですが、本当に犬は痛みに対して鈍感なのでしょうか?

他のイヌと喧嘩になって咬まれたりすると「キャン!」と泣きますし、動物病院で手術をするときには麻酔もします。

そもそも、人間に使用される鎮痛剤はイヌにも有効であることからも、イヌが痛みを感じるメカニズムは人間のものと差がないことは明白です。

イヌがどのような痛みを感じているのかは分かりませんし、痛覚のメカニズムは分かっても痛みの程度までは定かではありません。。

仮に、同じ程度の痛みを伴う怪我をしたとしても、イヌと人間で痛みに差があるのかどうかというのも分かりません。

「痛い!」というのは非常に主観的な感覚で、人間でも個人差があります。

注射を極端に嫌う人もいれば、そうでない人もいます。

また、病院でベテランの看護師さんに手当てしてもらっているときに「痛い!」というと、「大げさな・・・、我慢しなさい!」と言われた経験はありませんか?

人間は怪我をしても差し迫ったことが無ければ痛みが優先されますが、イヌはそうではないようです。

スポーツ選手が試合中に怪我をしてもアドレナリンが分泌されている状態では痛みを感じず、試合が終わってから落ち着くと急に痛みに襲われるということがあります。

精神的な領域で感じる痛みを抑えることが出来る、すなわち、我慢することが出来るというだけで、痛みそのものが消えるわけではないというわけです。

以上のことも踏まえて、現在のところは、イヌは痛みに対して鈍いのではなく人間よりも数段我慢強いというのが一般的な考え方です。

野生時代の名残として体に染みついている習慣で、痛みを我慢しているというように考えられています。

自然界は弱肉強食であり、少しでも弱みを見せると命の危機につながる可能性もあります。

野生で敵に襲われて怪我をしたからといってジッとしていては相手の餌になってしまいますので、怪我をしても移動することを優先するということは弱肉強食の世界では当たり前のことなのです。

集団で行動する群の中にはボスがいますし、それなりの序列があります。

群の中で自分の地位を少しでも高いところに置くことによってより多くの食べ物を食べることが出来ますし、交尾によって自分の遺伝子を後世に残す機会が増える可能性もあります。

集団の中で自分の地位を守るためには、怪我や加齢に伴って発生するような痛みを抱えていることが察知されることは群の中での自分の順位が下がってしまうことにつながるかもしれません。

以上のように、野生の記憶が残っているイヌにとっては、痛みを訴えることは死活問題にもなる差し迫った状況です。

敵に噛まれて「痛い、痛い」と騒ぐよりもその場から素早く移動して餌になるようなことを避ける必要があります。

軽い痛みであっても慢性的な痛みを抱えている状態であっても、群の仲間に察知されることを避けるために痛みを我慢する可能性もあります。

イヌの社会では、とりあえず痛いのは我慢するということが優先されるというわけです。

もちろん、ペットとして人間と暮らしているイヌには痛みを我慢する理由はありませんし、痛みを我慢することによって近い将来に起こる健康被害が手遅れになってしまって短命につながるリスクもあります。

イヌは痛みに対して我慢強いとして、実際の痛みはどのように感じていると予想されるのでしょうか?

言語を持たない愛犬の痛みを察知するには、痛みを抱えているときの行動パターンを観察することで判断するしかありません。

痛覚とは?

痛覚という痛みを感じる感覚は医学用語では疼痛と呼ばれますが、物理的あるいは化学的な刺激によって電気的な信号が発生し、大脳に伝えられることで疼痛として認識されます。このことは、人間でもイヌでも同じです。

痛みが発生する理由というのは謎のままですが、痛覚は体に起こった危険なトラブルを認識する上で非常に重要な感覚であると言われています。

痛みを我慢するということは将来の危険を無視することにつながりますので、我慢するということは決して良いことではありません。

ペットとして人間と暮らしているイヌが痛みをこらえる理由はありませんので、痛みを堪えている状態を素早く認知して早い段階で治療してあげることが飼い主の責任です。

イヌが痛いときに行う行動とは?

痛みを我慢する習性があるとはいえども痛みは感じているわけですから、痛みの程度に応じて態度や行動に変化が生じているはずです。

痛みの程度が軽いときには、落ち着きが無くソワソワ、ウロウロするような行動をとるかもしれませんし、痙攣するように震えたり食欲が低下したりすることもあるかもしれません。

強い痛みを伴う場合には痛みが発生している場所を触られるのを嫌がり、無理に触れると咬みついてくるようなこともあるかもしれません。

激痛となると呼吸も荒くなり、普段とは違う形で痛い部分を保護するように横たわって動かなくなるということもあるでしょう。

ペインスケールで愛犬の感じている痛みを数値化しましょう!

愛犬の行動パターンから、痛みがどの程度であるのかを判断するのは難しいことです。

ハッキリ申し上げると、痛みの度合いは愛犬本人にしかわかりません。

愛犬の痛みの程度を数字にして評価できるペインスケールと呼ばれる便利なツールがあります。

動物病院を受診した時に一部の病院で利用されることがある方法ですが、必ずしもペインスケールを使用するというわけではなく獣医師が直感的に判断するケースも少なくはありません。

日本語で書かれているペインスケールには、「急性通ペインスケール」と「慢性痛チェック」の二種類があります。

判断の基準は、愛犬の姿勢、行動パターン、鳴き声、精神状態、歩行の様子、触った時の反応などに対して点数を配置したいくつかの項目が用意されています。

合致する項目を選びその項目についている点数を合計するとき、数字が大きければ大きいほど痛みの度合いは高いということになります。

ネットで簡単に探すことが出来ますので、一般の人でも日々のチェックに使用することは可能です。

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