犬が早食いする理由 イヌの食事は味わうよりもスピード優先!

愛犬の食事風景では、ドッグフードをあまり咬まずに丸呑みしている姿を見かけることが多いと思います。

「そんなに慌てて食べなくても、誰も取らないから!」と言っても、お構いなしに「ガツガツ、ゴクゴク」と勢いよくドッグフードを平らげ全てが無くなってからおもむろに水を飲み始めるというのが一般的です。

野生で群を成して暮らしているイヌ科の動物は一つの餌をみんなで食べますので、ゆっくり噛みしめて食べていては自身の割り当てが減ってしまいます。

自分が見つけた獲物を仲間のイヌと共有して食べるということは、ゆっくり味わって食べている余裕はないということです。

また、イヌは一度の出産で複数の子犬が産まれますが、兄弟間でもエサの取り合いがあり、生まれてすぐから弱肉強食のルールの中で生きているということです。

極端な場合には、とりあえず丸呑みしておいてから別の場所に移動し、吐き出して食べ直すという行動をとる場合もあるようです。

従って、早く食べるために丸呑みするというのはイヌにとっては一般的な習慣であり、ドッグフードを食べるのは自分だけと分かっていても本能がそうさせているということです。

ちなみに、人間は五感で食事をすると言われており味や匂いは特に重要ではありますが、色や配置によってよりさらにおいしそうに見えるようになります。

しかし、イヌが見ている赤い色が欠落した世界では、美味しそうというのは半減してしまうかもしれません。

イヌがエサを食べるときに優先されるのは臭いと食感であり、味や見た目は二の次ということになります。

ペットフードの色が茶褐色の焼いた肉に近い色をしているのは、あくまで飼い主が見て美味しそうに見えることをイメージしたものということです。

そうは言ってもイヌにも好みの餌があり、気に入らないドッグフードは見向きもしないことがあることからも分かるように、味覚が無いというわけではありません。

好みの餌についてはまずは臭いを吟味することになりますが、一度口にしても吐き出してしまうというのは味が気に入らないということになります。

特に、苦味を感じる部分は人間と同じで舌の奥の方にあり、草などを食べた時にワンクッションおいて食べたものを吐き出すのは苦みを感じているのかもしれません。

  • 唾液の役割はイヌと人間で違っている?!

人間の唾液にはアミラーゼというデンプンを分解する酵素が含まれており、咀嚼して唾液と馴染むことにより食べ物に含まれている炭水化物が消化吸収されやすいように分解する働きがあります。

イヌの唾液も多少のアミラーゼの分泌はあるようですが、その量は人間よりもはるかに少なく唾液の役割は消化吸収以外の意味合いが強いと言われています。

イヌの唾液の分泌量そのものも人間よりも多く、食べたものを喉の奥に流し込むための潤滑剤としての役割の方が強くなっています。

イヌが食べ物を丸呑みするのを得意としているのには、唾液の分泌が大きく関わっているということです。

  • イヌは本当に味が分からないのか?

味を感じるのは舌の表面にある味蕾という器官ですが、イヌには人間の2割程度しか味蕾がありません。

先ず、砂糖が甘く塩が塩辛いといった具合に、味に由来する成分の立体構造が舌の表面に存在する味蕾に嵌まり込むことから味覚がスタートします。

特定の味蕾が味の成分と結合することによって信号が出されて、その信号が脳に伝えられて味が認識されることになります。

人間の味覚については研究が進んでおり、舌のどの部分でどのような味を感じることが出来るのかという味覚地図というものも存在します。

それに対し、イヌの味覚というのはあまり情報がありません。

イヌの味覚地図というのは存在しませんが、味に対する反応に関しては若干の情報が存在します。

人の味覚を感じる味蕾は舌の表面に約10,000個存在し、舌の前の方で甘み、奥の方で苦みを感じるようになっています。

また、塩味や酸味は舌の側面で感じるようになっているというのが、人間の味覚地図です。

イヌの味覚地図は何も分かっていません。

しかしながら、イヌが味を感じる舌の味蕾については以下のようなことが明らかとなっています。

イヌの味蕾の数は約2,000個しかなく、舌のどこでどんな味を感じているのかは定かではありません。

味蕾というのは味に関わる化学構造をキャッチする「レセプター」ということになりますが、4種類のタイプが確認されています。

それぞれのレセプターが特定の化学物質と結合することで、信号を脳に伝え味が認知されることになります。

レセプター、すなわち、味蕾が少ないイヌは人間よりも味を感じる能力は劣っていることは言うまでもありませんが、どのタイプの味蕾がどのように分布しているかの違いが味の感じ方を変えています。

ネコの舌には甘みを感じる味蕾がほとんどなく、穀物や果物を食べる習慣の無い野生動物では甘みを感じるような食事がほとんどないということに関係しているようです。

イヌの場合も人間よりは甘みを感じる能力は弱いようですが、ネコよりは数段優れていると考えられています。

イヌの場合ももともとは甘みを感じるということは無かったのかもしれませんが、人間とより密着して生活することでデンプンなどの炭水化物を分解するアミラーゼが増加するようになり、徐々に甘味を感じる味蕾が増えるように進化したのかもしれません。

また、イヌの味覚では塩味を感じる味蕾はほとんどないことも知られています。

塩味はミネラルの補給において重要な味覚ですが、肉食獣の場合エサとなる動物に含まれている血液を同時に食べるためミネラル不足になる心配が無いので発達しなかったのではないかと考えられています。

塩味を感じることが無いということは、塩分の多い食事を与えたときに自分で制御することが出来ずに塩分過多に陥りやすい可能性があるということを意味します。

人は塩辛いものを食べすぎると喉が渇き水を飲みますが、水を飲むことによって血液中の塩分濃度を希釈すると共に余分に劣った塩分を尿と共に排出することを促進する効果が期待できます。

逆に言えば、塩味を感じないイヌの場合には、余分に水を要求することが無く血液中の塩分濃度が高い時間が長くなることによる健康トラブルが起こりやすいということを意味しています。

ドッグフードでは塩分は必要最小限に抑えられているようですが、人間の食べ物や食べ残しを餌として与えていると、知らない間に血液中の塩分濃度が増加して腎臓の負担が大きくなり病気になる可能性があるということになりかねません。

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