イヌの不思議なありえない行動の意味は?

イヌの体の構造的特性からくる行動や仕草について解説してきましたが、イヌが日常的に行う人間では考えられない不思議な行動というのは五感に由来するものだけではありません。

本能的とも言うことが出来る不思議な行動にも意味があり、それを理解することによって愛犬を躾けるタイミングや方法、あるいは、快適な共同生活を送ることが出来るかもしれません。

甘えるようにお腹を見せる仕草の意味は?

愛犬がお腹を見せる仕草は、飼い主に甘える仕草の一つです。

「お腹を撫でて!」、「好きにして!」と言わんばかりに仰向けになって脚を畳んでいる様子は愛くるしく、思わず撫でてあげようと思います。

背中部分には背骨がありますが、お腹には外部からの衝撃を保護する骨がありません。

内臓が収納されていますし薄い皮膚で覆われているだけですので、お腹に噛みつかれようものなら致命傷は避けることが出来ません。

野生ではお腹を見せる状態というのは咬みつかれる心配が無いと思っていることを意味しており、「安心しています」や「信頼しています」という意味があります。

大切な臓器が格納されている部分ですので、あまり強く押さえず表面を擦るように撫でてあげるようにしましょう。

地面や壁に体を擦りつけるのは何の為?

ところ構わず仰向けになりごろごろ転がったり、散歩中に壁や電信柱に体を擦りつけたりするような行動をするときがあります。

擦りつけている体の部分に痒みなど違和感があるときにも、その場所を中心に擦りつけます。

ノミやダニなどが寄生している時は全身が痒いでしょうし、耳に炎症が起きて痒みや痛みがあるときには顔から地面や壁に擦りつけます。

また、肛門腺に炎症が起こっている時には、オスワリの状態で肛門を前後に動かすように擦りつけることもあります。

一方、地面に体を擦りつける行動には、土や草の臭いを体に付けて自分の臭いをごまかすという意味もあります、

これは野生時代の習慣であり、獲物に近づいても気付かれないようにするためとも考えられています。

人間にとっては思わず鼻をつまむような臭い匂いであっても、イヌにとっては臭い匂いとは限りません。

むしろ、シャンプーなどの合成的な匂いの方がイヌにとって嫌悪感を持つ匂いである場合もあり、シャンプーをした直後に体を擦りつける動作が多くなります。

片足を上げて固まっている愛犬!?

気になるものや見慣れないものを見つけた時に、その方角を見つめながら前脚の一方を上げたままにして固まっている行動をすることがあります。

片足を上げている時には大抵耳は真っ直ぐ立っていると思いますが、気にはなるけれどもどのように展開するかわからない時に取る警戒行動です。

優れた聴覚や嗅覚で気になるものの存在には気付いていますが、視覚が追い着いていないためにそれが自分にとってプラスであるのかマイナスであるのかが確認できていない状態ということが出来ます。

イヌの動きだしは前足から始まりますが、前脚の片方を上げている状態は前にも後ろにも動くことが出来ます。

どちらにも進めるように準備態勢を取っているということは、警戒していることを意味しています。

苦手な人やイヌあるいは勝てそうにない相手に出会った時には、後ろに動いていつでも逃げることが出来るようにしているというわけです。

飼い主が急に立ち上がった時に構われたくない気分の時にも、同様の行動をすることがあります。

そんな時には、ゆっくり近づいて前に進むのか後ろに下がるのかを観察するようにしてあげた方が良いかもしれません。

ウンチやしっこをした後に砂や土をかけるのは何故?

「後足で砂をかける」という慣用句がありますが、イヌや馬が走りだす時に後足で地面をけった時に蹴散らされた砂や土が後ろにいる人にかかる様子から、恩義を受けた相手を裏切るように去っていくことを意味しています。

しかし、イヌがウンチやしっこをしたときに砂や土をかけようとする行動は、肉球にあるエクリン腺から出る汗の匂いをその場に残すためと言われています。

イヌが自分の縄張りをアピールするための行動の一つであり、ウンチやしっこをした場所にかかっていなくてもその近辺に匂いを残すことができれば良いということになります。

イヌは鏡に映る自分の姿が認識できるのか?

鏡やガラスに映った自分の姿を見て吠えるイヌを見ることがあるかもしれません。

左右が逆転しているとはいえども、イヌは鏡の中の自分をどのように感じて吠えているのでしょうか?

鏡に映った自分の姿を自分自身であると認識できる能力を鏡像認知と呼びますが、鏡像認知ができるのは一昔前までは霊長類に限定されると考えられていました。

近年では、鏡像認知ができる動物は結構増えてきており、イルカ、クジラ、カササギ、ブタなども加えられるようになってきています。

脳科学では、鏡像認知は自己意識や自覚を象徴するバロメーターと考えられています。

残念ながら、イヌには鏡像認知能力は確認されておらず、イヌが鏡やガラスに映った自分の姿を見て吠えているのは威嚇しているか怯えているかのどちらかと考えられています。

中には、不思議に思って鏡の後ろに回り込んでお尻の臭いを嗅ごうとするイヌもいるそうです。

散歩のときにすれ違う他のイヌと遭遇した時の反応と同じ反応であり、慣れてくると相手に敵意が無いことが分かり吠えなくなります。

いつもは大人しい愛犬が凶暴になる理由?!

病気でもないのにイヌが突然吠えたり咬みついたりする行動は、相手に怒りを感じていることを表しています。

過度の恐怖や不安が臨界点を超えることで怒りに変化し、攻撃的になるということもあります。

最初の内は遊びのつもりで甘噛みしていたのが、徐々に本気モードになってきたり何かの拍子に強く噛むようになったりすることもあります。

遊ぶときでも、ある程度手加減してほどほどにした方が良いということです。

また、イヌだけではなく妊娠中の動物は気性が荒く、お腹の中にいる我が子を守るために攻撃的になるということもあります。

妊娠中のイヌは母性が強く、迂闊に近づかない方が無難です。

イヌがため息をつくのは気持ちの表れ!

人間は期待外れの時に口から空気を押し出すようにしてため息をつきますが、イヌは口を閉じて鼻から息を押し出すようにしてため息をつきます。

ため息をつくときの気持ちは人間と同じで、ガッカリした時や期待外れのときに着くというケースもあります。

また、気持ちが落ち着いてゆったりしているとき、すなわち、お腹がいっぱいの時や大好きなご主人様の傍でまったりしているときにため息をつくこともあります。

両者の違いは、目を見ればわかります。

前者の場合は目をしっかり見開いていますが、後者の場合は少し眠気も入って目が半分くらい閉じた状態になっています。

愛犬が寝言を言う場合

眠っているはずの愛犬が、急に吠えたり唸ったりすることを眼にすることがあります。

寝言が大きすぎて自分の鳴き声で眼を覚まし、さらに吠えるということもあります。

愛犬がストレスを感じているのではないかと心配する飼い主もいるようですが、体は寝ていても脳が起きているレム睡眠の時に夢を見るというのは人間と同じですので特に心配する必要はありません。

楽しい夢もあれば怖い夢を見ることもありますので、夢の内容によって寝言の内容も変わってきます。

中には、寝言どころか脚をピクピク動かしてまるで痙攣しているように見えることもあります。

病気や痛みから痙攣しているのであれば問題ですが、起きているときに普通である場合には特に心配する必要はなく、走り回っている夢を見ているのかもしれません。

余りに寝言が酷いと感じるようであれば、就寝時に脳も休まるノンレム睡眠、すなわち深い眠りにつくことが出来るように、起きている時にしっかりと遊んだり運動させたりすることが有効かもしれません。

愛犬が相手の口や顔を舐める?

愛犬が飼い主の顔や口、あるいは、相対するイヌの口を舐めようとする行動は、カーミングシグナルの一つと言われています。

カーミングシグナルというのは、言葉を持たないイヌがボディランゲージで相手に気持ちを伝える手段です。

相手の口を舐めるのは相手に対する敬意や愛情を表現するものであり、愛犬が自分の方が格下であるということを認めている証拠です。

愛犬が口を舐めにきた時に拒まずに普通に舐めさせる人もいますが、イヌの口の中には雑菌がいっぱいです。

イヌは大丈夫でも人間にとっては軽い食中毒を起こすくらいの可能性はありますので、イヌに口を舐められたときには口を濯ぐようにした方が良いです。

目の前で口を濯がれたとしても、愛犬が気分を害するということはありません。

イヌは何故骨を好むのか?

イヌは食べるところが無い骨を好きというイメージが定着しており、イヌのためのおもちゃやお菓子、あるいは、歯磨き用のアイテムにまで骨の形状を模したものが使用されています。

しかしながら、実際にいつも骨を与えている愛犬家はほとんどいません。

むしろ、鶏の骨のように裂けやすい骨を噛み砕いたときに、尖った骨のかけらが喉や胃に突き刺さり危険であるとまで言われています。

イヌ=骨というくらいにイメージが固まってしまっている理由は、本来イヌが肉食であり餌となる動物を肉はもちろん内臓まで食べつくすということから来ていると考えられています。

もちろん、野生のイヌ属を代表するオオカミでも獲物の骨まで食べつくすというわけではありませんが、骨の周りに付いている骨格筋の残りまで食べつくす野生の習慣の名残であるというのが骨を好む理由の最も有力な説です。

骨格筋は骨を中心に存在し、伸び縮みすることで関節を中心とする上下の骨に働きかけて体を動かしています。

狩られた動物の骨の周りには食べ物の対象である筋肉由来のタンパク質が付着していますので、匂いが残っています。

すなわち、骨はイヌにとって魅力的な匂いの宝庫ですので、食欲を駆り立てられる存在であるということになります。

人間のように手が無いイヌにとって歯は食べ物を消化するためだけでなく、掴んだり攻撃したりするための手の代わりをする大切な組織でもあります。

また、イヌの歯磨き用のアイテムを見ても分かるように、イヌは物を噛むのが好きです。

散歩中に石を噛んでいることもあるくらいです。

ドッグフードのような柔らかいものではなく、骨のような硬いものを噛むことで歯茎を刺激すると共に歯垢や歯石を取ることができます。

また、硬いものを「ガシ!ガシ!」とマズル周辺の筋肉を使って噛むことによって、昂ぶっている意識を鎮めると共に血行が促進される効果もあります。

噛むだけならば骨である必要はありませんが、イヌが本能的に好む骨の形をしたお菓子や歯磨きアイテムが市販されている理由はイヌの骨好きにあるということです。

さらに、骨の内部にある骨髄の匂いに惹かれているという説もあります。

骨髄は血液の成分のもととなる組織が多く、血液の匂いがするのかもしれません。

イヌは何故ウンチを食べるのか?

イヌがウンチを食べる習慣というのは食糞と呼ばれる行為であり、実に困ったものです。

イヌは自分のウンチだけでなく、心無い飼い主によって散歩の途中で放置されたウンチを食べることもあります。

人間では考えられない行為ですが、イヌの場合にはそんなに珍しい習性というわけでもないようです。

ただし、食糞の習慣があるイヌとそうでないイヌがいますので、異常行動であることに変わりはありません。

放置されたウンチを食べることによってかからなくても良い病気にかかる可能性もありますので、是非とも修正したい習慣の一つです。

ちなみに、母犬が我が子のウンチを食べるのは匂いの痕跡を消すためであり、仔犬を外敵から守るための本能に基づいているものと考えられています。

そういう意味では、母犬が出産後に体外に排出される胎盤を食べる行動と同じ意味合いがあるということが出来ます。

また、仔犬が自分のウンチを食べるのは好奇心からくるものであり、成長と共によりおいしいものを食べるようになることで消えていく習性です。

さて、母犬や仔犬以外のイヌが食糞という行動をとる原因というのは、個体差があり過ぎて原因を明確にするのは困難と言われています。

イヌの嗅覚は匂いの嗅ぎ分けができるということですが、単純に臭いと感じる人間と異なり排便の臭いの中に未消化の餌の匂いを見つけることが出来る可能性があります。

道に落ちているうんちの中に自分好みの匂いが混じっていれば思わず食べてしまうこともあるかもしれませんし、嗜好性に関係なく餌が足りていないためにお腹が空いているという可能性もあります。

餌の問題だけではなく、トイレ以外の場所にウンチをしてしまった時に隠ぺいするための食糞行動もあるかもしれませんし、飼い主に注目してもらいたいというアピールもあるかもしれません。

餌の種類や量を変えたりすることで食糞行動が消えることもありますが、基本的にはウンチをしたらすぐに回収して廃棄するということを心掛け、散歩中は他所のイヌのウンチには近づかないようにコントロールすることが大切です。

公園の砂場や庭で穴掘りするのは何故でしょう?

公園の砂場で一心不乱に穴を掘りだしたり、床やシーツを引っ掻きまくったりする愛犬の行動も野生時代の習慣の名残と言われています。

イヌの祖先は、雨風を凌ぎ外敵からの身を守るために穴を掘って住処としています。

穴の中に住むことで少なくとも背後から襲われることはありませんので、安心できるようです。

一方で、エサとなる小動物を探す行為や保存食や玩具を隠しておく行為であるとるという考え方もあるようです。

現在はイヌの散歩を禁止している公園が多く土や砂と遭遇する機会が少なくなっており、家の床やシーツに穴を掘るかのようにゴシゴシこすることも少なくありません。

眠い時に眠る場所を整える場合もあれば、ストレスからくる場合や本能に基づいた単なる遊びということもあるかもしれません。

問題の無い場所であれば自由に掘らせてあげるというのも一つの手段ですが、目に余るようであれば、起きているときに一緒に過ごす時間を増やしてストレスを軽減した方が良いかもしれません。

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