イヌが見ている世界は人間のものと大きく異なっています!

イヌは主人の機嫌の善し悪しを顔色から判断していると言われますが、イヌの視力は悪く必ずしも主人の顔がはっきり見えているというわけではありません。

通常の視力の人が愛犬の顔をはっきり見ることが出来る距離であっても、イヌにはぼやけて見えているほど視力の差があります。

加えて、網膜の構造上の違いからイヌの目に映る世界の色は青と黄色で構成された緑色の世界であり、ちょうど人間が白黒テレビを観ているようなイメージです。

言い換えると、色の区別をするのが非常に難しく、色の付いたボールが地面に転がっていても色のトーンが背景と同じであれば背景に紛れて見つけることが出来ないケースもあるということです。

飼い主が白っぽいものを投げたときに上を見上げて空の色と重なると何処に物があるのかは非常にわかりにくく、見失ってしまうというのは仕方がありません。

どころが、ボールのように着地して転がる、すなわち動くものに対して敏感に反応するのもイヌの視覚の特徴の一つです。

野に潜む小動物が少しでも動けばロックオンするという、野生の特性の名残というわけです。

これだけを考えるとイヌは視覚が弱いように感じるかもしれませんが、人間よりも優れている点もあります。

夜に行動する夜行性の動物がいますが、夜行性の動物は暗い中でも周りの状況が把握できる眼を持っています。

イヌは夜行性というわけではありませんが、イヌの眼も人間よりは暗闇に強くできています。

夜行性の小動物を狩るためには、暗闇でも視える目が必要であるということです。

また、背後の状況を把握することが出来る視野の広さというのも、イヌの方が人間より優れています。

音だけでなく視覚的にも常に周りに気を配り、獲物を探したり敵に注意したりすることが出来るようにできているということです。

イヌは生まれてすぐはともかく、飼い主と生活を共にする間にやってはいけないことを学習していきます。

最初の内は失敗もしますがしっかり躾を行うことで善悪の区別がつくようになってきます。

躾を行う際には、失敗したら叱りうまくできたら褒めるということを繰り返しながら正しい行動を教えていくことになります。

脳波をキャッチして飼い主の感情を認識して褒められているのか叱られているのかを感じているのかもしれませんが、イヌの視力を考えると大半は言葉の勢いから判断していると思われます。

十分に躾けられているイヌでも失敗するときはありますので、そんな時には反省して小さくなって飼い主の顔色を窺っていると言われますが、イヌの眼には主人の顔はどのように見えているのでしょうか?

また、ペットショップでケージに入ったイヌに見つめられて気に入って購入するというコマーシャルもありましたが、イヌの眼にはどのような姿が映っているのでしょうか?

そこで、これらの現象を理解するために、頭蓋骨や眼球の構造からイヌの視覚の特徴について解説してみます。

イヌの両眼の位置関係は?

顔を正面から見ると、人間は両眼がほとんど同一平面上に存在しますが、イヌの両眼というのは頭蓋骨の形状に合わせて左右の眼が若干外側に開いたような形で配置されています。

外側を向いている度合いは長頭種と短頭種によって異なりますが、短頭種のイヌの眼はより人間に近い位置関係になっています。

さて、左右の眼が違う方向を向いていることにより、イヌは物体を立体的にみることが難しくなります。

物体を見るときには、左右の眼に映る少しだけずれた像を利用して立体的に物体を見ることが出来ます。

左右の眼が平行に並んでいる人間と比べるとイヌは左右の視野が重なる領域は狭くなりますので、立体的に物体が見える範囲は狭くなります。

反面、両目共により後方にまで視野が広がりますので、正面を向いたままで人が振り返らなければ見ることが出来ない斜め後方の空間を見ることができます。

視野の広い犬種では270度の視野を持っているイヌもいます。

さすがに真後ろを見ることはできませんので、イヌは背後から接触されることを嫌います。

視えない領域の物音や後ろから撫ぜることに対して異常に反応するのも、襲われるのではないかという恐怖心があるからです。

イヌと接触する際には、出来るだけ視野の範囲から姿を見せながらゆっくり安心できるようにした方が良いということです。

イヌの見ている世界は何色?

網膜には錐状体細胞と杆状体細胞が存在します。

錐状体細胞は明るいところで色と形状を認識する際に働く細胞であり、杆状体細胞は僅かな光でも形を認識できる細胞です。

本来は夜行性であるイヌは杆状体細胞が発達しており、逆に、昼に強いという錐状体細胞は少なくなっています。

昼間に物体を見るには色は重要な因子であり、錐状体が劣っているイヌは色を判断しにくい上に赤い色を感知する錐状体がほとんどありません。

従って、昼間にイヌが見ている世界は青い色と黄色い色が混じった緑色を中心とするモノトーンに近い世界です。

逆に、杆状体細胞が発達している網膜は夜目が効き、僅かにでも光が存在すれば獲物を追いかけることが出来ます。

さらに、網膜の下には、タペタム層と呼ばれる光を増幅する部分があります。

タペタム層は夜行性の動物で発達しており、暗闇で夜行性の動物の眼が光って見えるのはタペタム層によるものです。

ちなみに、雪深いところに生息するシベリアンハスキーのようなイヌは、タペタム層がありません。

積雪が光を反射するので、夜でも形状を認識するのに十分な光が得られるためにタペタム層が必要なくなったものと推測されます。

イヌの眼は動くものには敏感でも止まっているものは苦手!

動きを見切る能力を表しているのがフリッカー融合頻度と呼ばれる指標で、「フリッカー」というのは蛍光灯などがチカチカするチラツキを意味しています。

明暗を繰り返したときに点滅に見えるのか連続した光に見えるのかということがフリッカー融合頻度という数字で表され、数字が大きいほど動きの速いものを見極められるようになります。

イヌの眼のフリッカー融合頻度は人間の2、3割増しと言われており、人間には連続した動きに見える画面もイヌの眼にはパラパラマンガのように映っているのかもしれません。

また、イヌの眼の眼球に対する水晶体の割合は人間よりも大きくより多くの光を取り込むことが出来る反面、筋力不足により水晶体の厚みを変えるのが困難です。

特に、近くの物体を見るために水晶体の厚みを変えるのが苦手で、目の前の飼い主の顔はぼやけて見えているということです。

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